(749)手鏡の むらさき濃ゆく時雨けり/富澤赤黄男(1902~1962年)
俳句で「や」などの切れ字は、意味の区切れや強調のために使われます。同じように、1文字分空けることを強調として受け取ることができると考えています。「手鏡の」の後に1字空けがあります。単語の印象からガラスの面を向けて鏡を持つ所を想像しましたが、続く言葉の中には顔がありません。手鏡の紫色とけぶるような冬…
関連リンク
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- ・(744)病棟は海鳴りのなか神の留守/櫂未知子(1960年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。