(750)バス降りる園児多彩の防寒具/秋沢猛(1906~1988年)
山形県に暮らした作者の句からは、東北の厳しい冬の寒気が滲(にじ)み出ている。作者が生きた時代から、この園児たちは昭和の子供だが、現代とも共通する通園バスの風景が描かれている。園に着いて降車してくる園児たちはおそらく一様の制服姿。しかし冬になって身に着けるマフラーや手袋は、園児の個性のようにそれぞれ…
関連リンク
- ・(749)手鏡の むらさき濃ゆく時雨けり/富澤赤黄男(1902~1962年)
- ・(748)胸糞をどこに捨てよか枯葎/中原道夫(1951年~)
- ・(747)霜柱覗(のぞ)き分け入りてもみたし/正木ゆう子(1952年~)
- ・(746)詩の如くホットカーペットに座る/桑原三郎(1933年~)
- ・(745)葱を抜く地の冷えほつと空へ抜け/杉山久子(1966年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。