(751)骨壺の熱抱けど手の悴(かじか)めり/佐野瑞季(1997年~)
お骨を納めた骨壺(こつつぼ)を木箱に仕舞(しま)う。そのために骨壺を抱くと、熱伝導でほのかに、熱。荼毘(だび)に付した直後の感情の熱と、骨の熱が交錯する。死者の熱と生者の指の冷えの対比だが、この対比は単に対比で終わらない。冷え切った指は、死者の持った最後の体温とでも言うべき熱によってほぐされてゆき…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。