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わいどローカル編集局 > 小野(東松島市)

三輪神社から眺めた小野。地域全体が一望できる

 「わいどローカル編集局」は石巻地方の特定地域のニュースを集中発信します。12回目は「東松島市小野」です。

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地名、石の名に由来

 地区には地名の由来とされる石や館跡など歴史を感じられるスポットが多く、歩いて巡ることができる。

 鳴瀬町誌などによると、地名の由来は小野地区の薬師堂下にあった「小町石」や「小野石」とされ、同一の可能性があるとも記されている。小町石は、平安時代の女流歌人小野小町が旅の途中に腰掛けたと言われている。

 石は地区内外の家の庭を転々とし行方不明になっていたが、1998年に住民らでつくる「小町石の復帰と保存を図る会」が、東松島市矢本の願成寺境内にあった石を譲り受けて元の薬師堂に戻した。

 小野は複数の伊達家家臣らが治め、1682年には江戸番頭だった富田氏が領主となった。8代190年にわたって治めた富田氏の屋敷跡には現在、日本ウェルネス宮城高が立地する。

 藩制時代は石巻地方の宿駅や舟渡町として栄え、月に9日も市が開かれた経済や交通の要所だった。

 地区には三つの館もあった。梅ケ森館跡の一部はお館山公園となり、街を一望でき、桜の名所としても親しまれている。

 1955年5月に小野、野蒜、宮戸の3村が鳴瀬町になり、50年後の2005年4月、矢本町と合併し東松島市となった。

農産物並ぶ憩いの場「ひだまりの里」、宅配にも対応

地元産の新鮮な食材が並ぶ直売所。右奥に交流スペースがある

 小野地区の直売所と交流スペースを兼ねた東松島市小野地域ふれあい交流館「ひだまりの里」。住民の新たな集いの場になりつつある。

 2018年11月に開所し、22年4月からは隣接する小野市民センターの大規模改修工事のため約1年半休館。今年9月に運営を再開した。施設は地場産品を扱う直売所と、地域内外の人に交流の場として貸し出しているスペースがある。

 直売所は同市矢本の直売施設「Harappa(はらっぱ)」が運営。地元の季節野菜や米、住民が手作りした作品などが並ぶ。佐藤浩店長(63)は「人の集まる場所にしたい」と地域に根ざした取り組みを模索している。

 利用客の「重いから持って帰れない。買うのを諦める」という事態を解消するために、宅配サービスを今月始めた。午後1時以降の配達で料金はかからない。「米から大根1本までなんでも届ける。気軽に頼んでほしい」と呼びかける。直売所から離れた地域での移動販売を検討している。

 交流スペースではこれまで観葉植物の販売会や塩分チェックなどが行われた。いすやテーブルがあり、会議や勉強会にも使える。12月には地元生花店が、クリスマスリースを作るワークショップを開く予定だ。

 交流スペースは住民が談笑したり、小学生が宿題をしたりするなど交流の場としても活用されている。

 営業は午前10時~午後3時。日、月曜、年末年始休業。直売所の連絡先はHarappa0225(98)9826。交流スペースの貸し出しは東松島市市民協働課まちづくり推進係0225(82)1111内線3808まで連絡する。

児童の登校見守り、70代男性3人がボランティア

小学生の登校を見守る片岡さん(左)

 「おはよう」「いってらっしゃい」。鳴瀬桜華小へと急ぐ児童を元気に見送る。新道町内会自治会会長の片岡健治さん(76)らは、小学生の登校を毎日ボランティアで見守る。メンバーは片岡さんと小野上区自治会会長の橘川彰さん(75)、西福田地区の児嶋俊治さん(75)。登校日に通学路で一人一人に声を掛ける。

 活動は登校時間に合わせた朝7時過ぎから1時間ほど。片岡さんは市役所鳴瀬庁舎前の信号機、市の交通指導隊員でもある橘川さんと児嶋さんは同校近くに立つ。

 3人は2021年に同校が現在の校舎になる前から別々に活動。片岡さんは7、8年前から自宅周辺の通学路、旧校舎前では橘川さんと児嶋さんが5、6年前から見守りをしていた。現在は活動後に集合し、児童の様子などを共有する。

 片岡さんの活動のきっかけは、川崎市で起きた登校中の小学生の交通事故だった。ニュースを見て地域の子どもたちを守ろうと思い立ち、以降はずっと続ける。「地域や子どもたちのために始めたが、子どもの笑顔に元気をもらい自分のためにもなっている。体力が持つ限り続けたい」と語る。

活動後に子どもたちの様子について話す片岡さん(左)と橘川さん

バイオリン奏者・鹿嶋さん、音楽の楽しさや癒やしを古里へ

19日のワークショップでは参加者にバイオリンに触れてもらう場面もあった

 小野地区出身で東京在住のバイオリニスト、鹿嶋静さん(44)が、東松島市内での活動を通して地元との交流を広げている。催しや東日本大震災の追悼行事での演奏をはじめ、市内の保育所や小中学校などで演奏会を開催。今年7~12月は東松島の歌を作るワークショップも開いている。

 鹿嶋さんは5歳でバイオリンを始め、旧小野小、旧鳴瀬一中、多賀城高の出身。大阪芸大を中退後、ギターボーカル、三線との3人組でデビューした。アニメのエンディング曲に起用されるなど広く活躍し、東松島ふるさと大使も務める。

 歌のワークショップでは市民や東松島に縁がある人の思いを形にしていく。参加者から歌詞にする言葉を集め、イントネーションの高低差をメロディーにして1曲にする。12月17日にも開き、完成した曲は来年2月に披露する予定だ。

 子どもたちにプロの演奏に触れる機会を提供したり、催しで演奏を披露したりと精力的に活動するが「自分がやりたいことをやっているだけ」と鹿嶋さん。昨年と今年の3月11日、市内で開かれた震災の追悼行事でも演奏した。「心の回復は人それぞれ違うのが当然。悲しみはそのままじゃない方がいい。今後も活動を続けたい」と話す。

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 今回は小野販売店と連携し、及川智子、相沢春花の両記者が担当しました。次回は「東松島市矢本」です。

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