ごみ集積所が注目の的、まるでバス待合所 東松島・下村松地区住民ら改修 マナー向上にも一役
東松島市牛網下村松地区で住民らが協力して造り直したごみ集積所が、近隣住民や通りかかった人の話題になっている。老朽化した集積所を全10世帯の住民と地区出身者が改修、改良し、立派なバス待合所のように仕上げた。作業を通して東日本大震災で途絶えていた交流が再び生まれ、ごみ捨てのマナー向上にもつながったという。
地区の一角に立つ集積所は茶色や白に塗られた木材が温かみを感じさせる。正面にはごみの収集日が示され、地区の呼び名「FUTATSUYA(二ツ家)」と書かれた表示板も掲げられている。
震災の津波で大きな被害を受けた下村松地区では、被災後に鉄パイプやトタンで応急的な集積所が造られたが、老朽化して骨組みがゆがんでいた。地区外から持ち込まれたとみられる家電製品などが捨てられていたこともあった。
住民から改善を求める声も上がり、地元自治会の副会長を務める鹿野俊春さん(71)が住民に呼びかけ、改修することにした。費用は各世帯から2000円ずつ集め、自治会の補助も合わせて4万円ほどを用意。震災時まで地区に実家があり、跡地を作業場にして趣味のバイク整備などで通っている武田豊晴さん(60)=東松島市矢本=も改修作業と費用負担に加わった。
7月に全世帯の住民と武田さんが作業を実施。改修は1日で済んだが、武田さんはその後も自宅から通い、扉を付けたり入り口部分にシートを敷いたりした。航空自衛隊松島基地の曲技飛行チーム「ブルーインパルス」のステッカーもあしらい、約4カ月かけて機能とデザイン両面で改良した。日々きれいに変わっていく集積所では通りかかった人が足を止め、写真を撮っていく姿も。ごみの分別や捨て方のマナーも改善したという。
地区は震災後に世帯数が半減、住民の交流機会もほぼなくなっていた。鹿野さんは「7月の作業で震災後初めてみんなが顔を合わせることができた。きれいな状態になったら使う側の意識も変わった」と感謝する。
武田さんも集積所の状態を以前から気にかけていた。「好きに造ることを了承してもらい思うようにできた。ごみを並べてくれるようになり『ごみ捨て場』が『ごみ置き場』になった感じ。不具合が起きたら補修も引き受けたい」と話した。
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