(757)冬枯の中の目鼻として立てり/永瀬十悟(1953年~)
冬景色の中に、目鼻だけが立っている。アニメ「トイ・ストーリー」のMr.ポテトヘッドだろうか。シュールな光景だ…というのは冗談で、寒いときは目に空気が染みる。鼻の頭は赤くなって刺激に敏感に。ぬくぬくとオーバーに包(くる)まっている身体のことは忘れ、外気に露出している目鼻だけが存在しているような気がし…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。