(753)阿弖流為(あてるい)をここに呼びたき薬喰(くすりぐい)/茨木和生(1939年~)
「阿弖流為」は、平安初期に北上川流域を支配した蝦夷(えみし)の族長。大和朝廷の征夷軍の侵攻に対し、強力な抵抗戦を行ったが、ついに降伏し、河内国で斬殺された。季語の「薬喰」は、冬に滋養のために猪(いのしし)や鹿の肉を食べることをいう。作者は奈良の人で、東北に旅した時の句だろう。阿弖流為の話を聞き、そ…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。