(758)椅子に身をなじませてゆく暖房車/西山睦(1946年~)
暖房車は、かつてのボイラーを積んだ暖房専用の車両のことも指すようですが、なにせ乗ったことがないもので、私は暖房のついた電車を想像しました。駅のホームで寒風に耐えながら列車を待つと、暖かな車内と、足元にヒーターのついた電車の椅子がことさら身に染みます。座面が人の形に馴染(なじ)んでいくように、寒さで…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。