(765)寒き世を人と生まれて笑ふなり/藺草慶子(1959年~)
赤ん坊に「いないいないばあ」や「くすぐり」をすると笑うのは、一緒にいる誰かが何かをしているのがおもしろいと感じるためのようだ。おもちゃだけでは笑いにくいらしい。赤ん坊は言葉を話すことができないので、代わりに笑うことで周囲とコミュニケーションを取っているのだろう。「寒き世」は混乱の世界のようでもある…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。