(761)眼の奥に陽光溜めて猪撃たる/金子兜太(1919~2018年)
山で生まれ山で育った猪(いのしし)と、人間との出会いは悲劇になることが多いのかもしれません。猟師に撃たれた猪の、その直前の姿です。猟をしませんのでディテールは想像になりますが、人に気付いてこちらを見る猪の眼の奥を、人がのぞき返したのかもしれませんし、あるいは銃に気付かぬ猪の眼に、死の直前まで豊かな…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。