(767)発車ベル鳴れば海辺の雪太る/佐怒賀直美(1958年~)
まるで推理小説の始まりの場面のようです。列車が待つのは海辺の駅。冬空はどんよりと曇り、細かな雪が降っています。発車ベルが鳴ると車両はゆっくり動き出しますが、それにつれて雪は段々と激しさを増し、粒も大きくなってきました。窓に広がる海は鉛色で、波が激しく打ち寄せているでしょうか。出発に心は躍りますが、…
関連リンク
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- ・(762)十二月八日の霜の屋根幾万/加藤楸邨(1905~1993年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。