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廃漁網、道路舗装に再利用 県道で実証実験開始 アスファルト改質剤、花王など国内初開発

廃棄され、保管場所に積み上げられた漁網=石巻市魚町1丁目
漁網を活用したアスファルトで道路を舗装した実証実験=岩沼市、県提供

 石巻市で廃棄されるプラスチック製漁網を原料の一部にしたアスファルトの改質剤を、ペットボトルのリサイクル推進に取り組む花王などが国内で初めて開発した。県内は漁網の破棄量が国内最多で、実用化によるプラ廃棄物の削減などが期待される。13日は県道の舗装に使用し、耐久性を確かめる実証実験も始めた。

 花王と道路舗装会社「日本道路」(東京)が共同で開発した。水産商社ニチモウ(同)が連携し、漁網の仕立て、修理を手がける東北ニチモウ石巻工場で廃棄された、ペットボトルの原料となるポリエチレンテレフタレート(PET)製の漁網を活用。漁網を加工して改質剤に加え、アスファルトに混ぜ込むことで強度を向上させた。

 花王はペットボトルを原料にした改質剤を2020年9月に開発し、実用化した。同じプラスチック製の漁網が再利用できず廃棄されている現状を知り、原料への活用を進めた。漁網を使った改質剤は従来品よりも性能が上がったという。

 花王の担当者は「焼却されてCO2(二酸化炭素)を排出しているものを再利用し、地域の道路舗装に使われる循環を生み出したい」と話した。

 漁網の仕立て、修理の拠点が集積する石巻市を中心に、県内では毎年約500~600トンのPET製漁網が廃棄され、全国の半数ほどを占める。現状ではリサイクルの手段が確立されておらず、産業廃棄物として処分している。

 県道舗装の実証実験は岩沼市で実施。従来のアスファルトと、開発した改質剤を混ぜたもので連続する区間を舗装し、1年をかけて耐久性を比較する。

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