(772)山市やあられたばしる牛の角/榎本星布(1732~1815年)
山の市場に、牛がのっそりのっそりと引かれてくる。今ではなかなか見られない光景だと思う。牛は積み荷を背負っているのだろう。降り出したあられに打たれながらも、持ち主に連れられて、牛は悠然と歩く。この場所の主役は俺様だと言わんばかりだ。その牛の角にほとばしるあられ。のっそりした牛が何だか格好良く見えてく…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。