2023ニュース回顧 取材ノートから > 県議選 現職4人が議席守る
<戦い白熱も、投票率低迷>
任期満了に伴い10月22日に投開票された県議選の石巻・牡鹿選挙区(定数4)=石巻市、女川町=は、現職4人と新人2人が立候補し、ベテラン現職勢が議席を守った。
最多の1万3545票を獲得した無所属の本木忠一氏(66)を筆頭に、いずれも現職で自民党の佐々木喜蔵氏(74)、立憲民主党の坂下賢氏(61)、共産党の三浦一敏氏(73)が当選。ともに新人で、元石巻市議で日本維新の会の佐藤雄一氏(44)、元高校教諭で無所属の橋浦清紀氏(59)は敗れた。
定数が1減り、4議席を6人が争う激戦の構図だった。前回2019年は無投票だったため、選挙戦は15年以来8年ぶり。さらに新人が立つのは補選を除けば11年以来12年ぶりとあって、盛り上がりを期待した。
東日本大震災からの復興という前回選挙戦のような明確なテーマがない中、各候補は独自の争点を掲げて支持拡大に奔走した。仙台一極集中の打開、物価高や人口減少対策、給食費無償化、教育の充実などを声高に訴えた。
注目されたのは「維新の風」だった。現職陣営は地方選で躍進する維新の動向を警戒した。党は馬場伸幸代表が初日に石巻入りするなど、知名度のある幹部を次々と送り込んだ。佐藤氏は大型商業施設前での街頭演説を繰り返し、世代交代や党が掲げる身を切る改革などを訴え、若い世代や無党派層への浸透を図った。
三陸河北新報社が実施した期日前投票の出口調査では、佐藤氏は若者だけでなく60歳以上の高齢者からも一定の支持を集めた。当選には届かなかったが、4位の三浦氏に194票差まで迫った。三浦氏は当選直後「ここまで詰められるとは思わなかった」と本音をこぼした。トップ当選した本木氏も「現職への批判もあったのだろう。それは謙虚に受け止める」と表情を引き締めた。
当選ラインを巡る争いは白熱したが、有権者の関心は高まらなかった。投票率は39.85%と低迷。区割り変更で現在の選挙区になった07年以降最低で、初めて40%を割った。15年に比べて5.61ポイントも低下した。
取材をしていて「選挙は政治家にとって通信簿」という言葉を何度か聞いた。市民の関心の高まりがいまひとつだったのは、県政を身近に感じにくいことが一因ではないか。当選した県議は石巻地方の代表として、地域と県政をつなぐ役割がこれまで以上に求められる。(奥山優紀)
■メモ
開票結果は本木氏1万3545票、佐々木氏9677票、坂下氏8220票、三浦氏6876票、佐藤氏6682票、橋浦氏2827票。東松島選挙区(定数1)=東松島市=は、自民党現職の高橋宗也氏(61)が無投票で3選を果たした。
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