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ワンテーブル問題 「カムイサウルス展示をエンタメ路線に?」猛烈な違和感、声上げた住民とダイナソー小林の記録 北海道・むかわ

 北海道むかわ町穂別で2014年に全身骨格が見つかった新種恐竜「カムイサウルス・ジャポニクス」。町は世界に誇る恐竜化石を地方創生の柱にしようと博物館の新設計画を打ち出したが、最大震度7を記録した18年の胆振東部地震で中断を余儀なくされた。新博物館計画は22年に満を持して再始動。しかし思わぬ波乱が待ち受けていた。(福島総局・横山勲)

「私たちの『魂』が入らない」

 「ちょっと違うんじゃない? これじゃあ私たちの『魂』が入らない」

 23年6月、穂別地区で開かれた新博物館計画の住民説明会。後に「新博物館を考える町民会議」の代表に就いた元町職員の中沢十四三さん(66)は、示された施設のイメージに強烈な違和感を覚えた。

 新博物館の基本設計を受託した船場(東京)が提出したプランは、カムイサウルスの展示を目玉に「観光の拠点化を図る」とする内容だった。

 図面によると、館内各所を内壁で仕切り、展示室を順番に見て回る設計。デジタルコンテンツなどの「エンタメゾーン」を設け、入り口近くには「シアターゾーン」とあった。

 基本設計後の実施設計の発注は、設計から建設、運営までを受託企業に一括で任せる「DBO(デザイン・ビルド・オペレート)方式」を採用するという。

 中沢さんは首をかしげた。

 化石の展示には専門的な知見が必要だし、施設は貴重な資料の保存や調査研究、地域の教育活動に寄与するものでなくてはならない。

 何より穂別の博物館は幼い頃から化石に親しんで育った住民の心のよりどころだ。それが、観光客向けの「エンタメ施設」にリニューアル?
 「小林先生だって納得するはずがない」。中沢さんは、手弁当で穂別のまちづくりに協力してきた北海道大総合博物館の小林快次教授(52)の顔を思い浮かべていた。

 多大な研究実績から「ダイナソー(恐竜)小林」の異名を持つ小林教授。カムイサウルスの名付け親で、13、14年の発掘調査で陣頭指揮を執った恐竜研究の世界的第一人者だ。

ダイナソー小林の記憶

 住民説明会の1年余り前の22年春ごろ、小…

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