(814)胆沢満月雪の精二三片/佐藤鬼房(1919~2002年)
作者の母の故郷は岩手県にあった胆沢町(現奥州市)です。私も同じ胆沢平野に生まれ育ちました。平野の中は水田が広がり、山脈は遥(はる)か遠く、風景の中に溶け込んでいます。遮る建物もありませんから、どこまでも広い大地と夜空が、対のように向かい合います。その中に煌々(こうこう)とした満月と自分とがあるので…
関連リンク
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- ・(811)日輪の一日見えて氷柱かな/茨木和生(1939年~)
- ・(810)其迹(そのあと)は子供の声や鬼やらひ/小林一茶(1763~1828年)
- ・(809)烈風の戸に柊(ひいらぎ)のさしてあり/石橋秀野(1909~1947年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。