(809)烈風の戸に柊(ひいらぎ)のさしてあり/石橋秀野(1909~1947年)
「柊挿す」は、節分の夜に魔除(まよ)けのために、焼いた鰯(いわし)の頭を付けた柊の枝を戸口に挿すこと。柊の棘(とげ)状の葉と鰯の臭みを鬼が嫌うからという。わが家にも柊の木があり毎年やっているが、確かに尖(とが)った葉は痛い。掲句は激しい風の中にしっかりと挿してある柊だが、作者自身のようにも思えてく…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。