(810)其迹(そのあと)は子供の声や鬼やらひ/小林一茶(1763~1828年)
節分には豆撒(ま)きをするが、その由来は追儺(ついな)式とか鬼やらいと言って、新春を迎える前に桃の弓で葦(よし)の矢を放ち、悪魔を追う神事。京都の吉田神社が高名である。さて掲句。神社で厳かに行われる追儺だが、神事の周りは人だかりでがやがや。それでも神事の間はみんなじっとしているけれど、終わると緊張…
関連リンク
- ・(809)烈風の戸に柊(ひいらぎ)のさしてあり/石橋秀野(1909~1947年)
- ・(808)木の中の釘はしずかに青みたり/岩尾美義(1926~1985年)
- ・(807)骨格の弾けて戻る嚏かな/川田果樹(2003年~)
- ・(806)待春(たいしゅん)の日ざし溢(あふ)るる無縁墓地/鹿野佳子(1934年~)
- ・(805)冬帽を脱げば南に癖毛立つ/今井聖(1950年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。