13年間の思い語る 東日本大震災の教訓共有、石巻でフォーラム 遺族や支援者ら参加
「東日本大震災から学ぶべきもの」と題したフォーラムが23日、石巻市のみやぎ東日本大震災津波伝承館で開かれた。「13年間の歩み・疑問を抱える遺族と支援者」をテーマに遺族と支援者7人がクロストークなどを交えて震災を振り返り、教訓を共有した。
石巻市の公益社団法人3.11メモリアルネットワークと大崎市の一般社団法人「健太いのちの教室」、福島県大熊町の一般社団法人「大熊未来塾」、陸前高田東日本大震災遺族連絡会が主催。会場とオンラインで計約50人の参加者が遺族らの話に耳を傾けた。
陸前高田市職員だった長男=当時(24)=と長女=同(23)=を亡くした、陸前高田東日本大震災遺族連絡会の戸羽初枝さん。「安全と言われた場所でなぜ亡くなったのか、行政から説明はなく、行方不明者捜索の請願が通っても、実施されない。一人の母ちゃんとして活動してきたが、大きな権力の前に屈してしまった」と行政のずさんな対応とやるせない気持ちを語った。
大熊未来塾の代表理事木村紀夫代さんは「過去に大熊町を襲った津波を知っていれば、次女=同(7)=は逃げられたかもしれない」と話し、「町には津波が来ないと思っていた人も大勢いたが、過去をたどれば津波は発生していた。自分の地域では過去にどんな災害があったのか調べてほしい。防災意識を高めることも復興だ」と訴えた。
「過去の記録が未来を照らす」と、健太いのちの教室代表理事の田村孝行さん。七十七銀行女川支店の行員だった長男健太さん=同(25)=は、支店長の指示で他の行員ら13人と指定避難所の高台ではなく屋上に避難。支店で働く12人が犠牲になった。「会社は従業員の安全を守らなくてはならない。事前の備えが一番重要だ」と述べた。妻弘美さんは「多くの人に助けてもらった13年だった。未来の命を守るために学びを共有し、次世代につなげていく」と話した。
支援者の声も紹介。若者の視点として、同未来塾の義岡翼さんと経済誌「ダイヤモンド」の編集者猪股修平さん、全国紙の記者新田健さんがそれぞれ、震災からの学びなど意見を交わした。
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