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いしのまき食探見 > 河南春菊 食感柔らかな万能食材

寒過ぎても暑過ぎても生育に影響する繊細な春菊。時子さん(手前)と敬さんは手間暇かけて大事に育てている

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

河南春菊

 風が冷たく、寒い日が続くと無性に鍋料理が食べたくなる。具だくさんの鍋に彩りと、爽やかな風味を添えてくれる春菊。石巻市鹿又を中心に栽培される「河南春菊」が旬を迎えている。

 1986年、米の育苗ハウスの有効活用を目指し、同市鹿又の米農家数人で栽培を始めた。主力は「鍋奉行」と「きわめ」。低温でも育ちやすく、葉が肉厚なのが特徴。食感も匂いも柔らかく、スッキリとした香りが鼻から抜けていく。

 約30年前から春菊の生産に携わる、米や野菜を育てている同市鹿又の松岡敬さん(73)と妻時子さん(73)を訪ねた。「1日に何回も見に来て、ハウスを開け閉めして適切な温度を保っている」と時子さん。愛情と手間を惜しまない。

 9月中旬に栽培を開始。5センチほど成長させ、土に植え付ける。11月下旬から出荷。春菊は1株から約3回収穫できる。1回目から親、子、孫と呼ばれるが、味や風味に差はない。

 袋詰めまでが仕事。敬さんと時子さんが息を合わせて、一束一束きれいにそろえる。

 風味と香りを生かした食べ方を聞いた。時子さんは「サラダとして葉だけ食べる人もいるみたいだ。少し風味が薄いが、茎も甘くて食べやすい」と言う。ニンジンやチーズと一緒に肉巻きにするのもお勧め。風味が苦手な子どもも食べやすい。栄養価が高く、みそ汁の具にも、おひたしにも、卵とじにも合う万能食材だ。(相沢春花)

<メモ>
 いしのまき農協「河南蔬(そ)菜部会」春菊班の班員は23人。生産のピークは冬場だが、夏場も薄味であっさりした春菊を出荷している。2022年度の生産量は約24トン。県内のスーパーを中心に販売されている。購入後、保存する場合はぬらしたキッチンペーパーで包む。その上から新聞でくるみ、立てて冷蔵庫に入れる。

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