(828)何処にでも行ける切手を買うて春/大島雄作(1952年~)
仕事柄、郵便もメールも両方送る機会がありますが、封書に宛名を書いていると、その住所の遠さにしみじみすることがあります。この手紙は和歌山へ、これは兵庫へと、自分が行く予定のない遠方に受け取る人は住んでおり、手の中の紙は数日後にそこにたどり着きます。メールにその感慨はありません。作者はまだ手紙を出す前…
関連リンク
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- ・(824)不動滝春の音して落ちにけり/石川暉子(1937年~)
- ・(823)心臓はひかりを知らず雪解川/山口優夢(1985年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。