(826)春一番又三郎よマタサボロウ/寺田伸一(1962年~)
「春一番」は立春後に初めて吹く強い南風。そこから宮沢賢治の「風の又三郎」を連想したのだろう。転校してきた少年と子どもたちの交流の物語だが、それにしても「また、さぼろう」とはやられた。悪童が親しみを込めて呼びかけているようで楽しい。作者は事故で重い障害を抱えるが、「僕は俳句に出会って人生が楽になり、…
関連リンク
- ・(825)十六歳は時限爆弾花ぐもり/大高翔(1977年~)
- ・(824)不動滝春の音して落ちにけり/石川暉子(1937年~)
- ・(823)心臓はひかりを知らず雪解川/山口優夢(1985年~)
- ・(822)ストローを銜へるひとりづつ霞/鴇田智哉(1969年~)
- ・(821)料峭(れうせう)や獣のごとく束子(たはし)ある/正山小種(1995年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。