(823)心臓はひかりを知らず雪解川/山口優夢(1985年~)
心臓は体内にあって、光が当たることはない。当たり前のことだが、普段は意識しないのでこう書かれると驚く。仮に心臓が光を知るとしたら、事故や病気で手術をするときで、そう思うと不気味でさえある。一方早春の雪解けの川は、日の光にまぶしく輝き、とうとうと流れている。体の内部で絶えず血液を循環させている心臓と…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。