(829)竜天に登るを黄河追ひゆけり/松崎鉄之介(1918~2014年)
今年の干支(えと)は辰(たつ)。「竜天に登る」は、春分の頃竜が天にのぼり雲を起こし雨を降らせるという中国の伝説からできた季語だ。黄河は中国北部を流れる大河だが、地図からは一匹の竜のように蛇行して見える。作者は中国の大地に立ち、春の大空を眺め、想像の翼を広げて竜を天にのぼらせた。さらに地上を流れる黄…
関連リンク
- ・(828)何処にでも行ける切手を買うて春/大島雄作(1952年~)
- ・(827)春や春クリームぴゆと出ぴゅと戻り/箱森裕美(1980年~)
- ・(826)春一番又三郎よマタサボロウ/寺田伸一(1962年~)
- ・(825)十六歳は時限爆弾花ぐもり/大高翔(1977年~)
- ・(824)不動滝春の音して落ちにけり/石川暉子(1937年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。