(830)梅ちるやとうんとうんと晝(ひる)の波/高橋睦郎(1937年~)
とうんとうん。心音とシンクロナイズドする海の音。この句の作者は詩人で、「現代詩手帖」に、過去の西洋詩人と対話する詩を連載中。この句は、詩人ならぬ自然と一体化して、波が自分の心臓となったかのような書きぶりだ。海からの憑依(ひょうい)が、梅が散ったことを契機に起こり始めたような書きぶりはドラマチック。…
関連リンク
- ・(829)竜天に登るを黄河追ひゆけり/松崎鉄之介(1918~2014年)
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- ・(827)春や春クリームぴゆと出ぴゅと戻り/箱森裕美(1980年~)
- ・(826)春一番又三郎よマタサボロウ/寺田伸一(1962年~)
- ・(825)十六歳は時限爆弾花ぐもり/大高翔(1977年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。