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ホヤの海外販路拡大へ 県、東南アジアでPRフェア 評判上々、需要増に期待

3月上旬、ベトナムの料理店で県産ホヤを使った料理を味わう人たち(写真は県提供)
フェアで提供された県産ホヤと青菜の炒め物(写真は県提供)

 石巻地方で生産が盛んなホヤの海外販路拡大に向け、県が3月から、東南アジア3カ国の日本料理店などでホヤをPRするプロモーション事業に取り組んでいる。県産ホヤは東京電力福島第1原発事故後、韓国の禁輸措置で主要な販路を失ったままで、関係団体は「新たな食材として定着すれば需要増につながる」と期待を寄せる。

 事業ではベトナム、マレーシア、シンガポールの料理店など計9店で「ホヤメニューフェア」を行い、石巻市桃浦産をはじめとした県産ホヤの刺し身や天ぷら、炊き込みごはんなどを提供。マレーシアとシンガポールの計5店では終了したが、ベトナムの4店は5月末まで継続する。

 現地でホヤはなじみの薄い食材だが、洋食や中華料理の具材にも使うなど工夫。県国際ビジネス推進室によると評判は上々といい、担当者は「県産ホヤを引き続き取り扱いたいとの声もあった」と話す。同室によると、今回のフェアを含めたプロモーション事業が、県産ホヤ約20トンの輸出につながるという。

 県産ホヤは東日本大震災後、主要な輸出先だった韓国の禁輸措置で7割が販路を失った。国内でも消費が思うように伸びず、生産者が減産を強いられるなど苦境にある。

 こうした状況を打開しようと県は2019年度から、新たな輸出先の開拓に向けたプロモーション事業を始めた。24年度も東南アジアや台湾への輸出拡大の可能性を探る。

 県産ホヤの生産・加工業者や県、県漁協などでつくる「宮城ほや協議会」の田山圭子会長は「県産ホヤのおいしさが海外に伝わり、うれしい。県のPR事業はありがたいこと」とした上で「現地で新たな食材として定着するには継続が必要。県に引き続き音頭を取ってもらい、ホヤの需要増につなげてほしい」と話した。

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