被災跡地をワイン用農園へ ブドウ植樹、雄勝に愛着 全国の60人参加
ワイン用のブドウ農園造りが進む石巻市雄勝地区の旧雄勝中跡地で、ブドウの木の栽培が始まった。6、7の両日には全国から駆け付けた支援者が苗木を植樹するイベントがあった。東日本大震災で甚大な被害を受けた地区中心部に自然を取り戻そうと手作業で植え、地域への愛着を深めた。
農園を運営する一般社団法人「MORIUMIUS FARM(モリウミアスファーム)」が開いた。参加者はあらかじめ掘られた穴に堆肥などを丹念に敷き、高さ約60センチの苗を慎重に植樹した。2日間で約60人が参加し、1ヘクタールの畑に赤ワイン用の苗約140本を植えた。今月中に白ワイン用を含む7品種、計約1300本を植樹する予定。
都内から家族3人で参加した会社員田中大輔さん(44)は「10年ほど前に会社の研修で雄勝に来た。植樹を通してもっと親しみを持てた」と話した。長女の瑞穂さん(8)は「地面が硬くて大変だった。毎年様子を見に来たい」と成長を楽しみにした。
農園整備は被災した住民らの移転元地を活用し、地区中心部一帯に花や木を植える官民連携の「雄勝ガーデンパーク構想」の一環。苗が順調に育てば2029年夏から秋にかけて収穫する。隣接地にワインの醸造やジュース製造、海産物などの加工施設を並行して整備し、30年のワイン出荷を目指す。
モリウミアスファームの油井元太郎代表理事は「ワイン造りを通して少しでも多くの人に地域への関心を持ってもらい、関係人口を増やしたい」と語った。
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