(873)海とどまりわれら流れてゆきしかな/金子兜太(1919~2018年)
無季の句です。眼前に海が広がり、波がゆっくりと打ち寄せてきます。形の定まらない海に「海とどまり」の表現は多少違和感があります。しかし、水が流れ続けて大海を巡るとしても、海そのものはいつでもそこにあり、全体が移動することはまれです。一方で、私という個は確かにここにありますが、さまざまな場所へと移ろい…
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