(874)弾痕も樹齢に加へ芽吹きをり/玉城一香(1941~2015年)
作者は沖縄の俳人。1945年の春、アメリカ軍は那覇市の西にある慶良間諸島に上陸した。それから約3カ月間、住民を巻き込んだ凄惨(せいさん)な地上戦が繰り広げられた。人が人を殺そうとして放たれた銃弾が、たくさんの沖縄の樹木を傷つけただろう。それでも傷痕すら樹齢として身に抱き、新たな生命を芽吹かせる。自…
関連リンク
- ・(873)海とどまりわれら流れてゆきしかな/金子兜太(1919~2018年)
- ・(872)朝寝して間寛平血沼海(ちぬのうみ)/岩田奎(1999年~)
- ・(871)われもまたこぼれゆくもの四月の木/川口真理(1961年~)
- ・(870)初蝶の既に命の重さかな/大関靖博(1948~)
- ・(869)かなしい日さくらとともに去って行く/川村旺己(2012年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。