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カヌーペア・石巻の永沼選手、惜しくもパリ五輪逃す アジア大陸予選で2位

カナディアンペア男子500メートル決勝。ゴール直前にカザフスタンのペア(手前)などと競る永沼・橋本ペア(手前から2隻目)

 今夏のパリ五輪出場権を懸けたカヌースプリントアジア大陸予選が19日、東京・海の森水上競技場であった。カナディアンペア男子500メートルの決勝に挑んだ石巻商高OBの永沼崚選手(30)=永沼・石巻市=は2位に終わり、五輪出場を逃した。(相沢春花)

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 決勝には永沼選手のペアの日本を含む9カ国が出場。昨年10月のアジア競技大会で永沼ペアを破って優勝したカザフスタンと隣り合うレーンでスタートした。

 前日の予選よりも強い風速3.6メートルの風が吹く中、前半はカザフスタン、ウズベキスタンと先頭で並ぶ展開。250メートル付近でカザフスタンが抜け出すと、永沼ペアも終盤まで食らい付いたが、押し切られた。永沼ペアは1分45秒739で2位。カザフスタンとは1.526秒差だった。

 永沼選手は「レース展開は悪くなかったが、カザフスタンは昨年の大会より速かった」と振り返った。ペアを組む橋本将都選手(29)=サコス・東京=は「永沼さんのコントロールがよく、ずっと真っすぐにこぐことができた。一緒にパリ五輪出場を決めたかった」と悔しさをにじませた。

 パリ五輪への道が絶たれた永沼選手は「悔しい思いはあるが、これ以上ないレースができ、心残りはない。結果ではなく、これまで練習してきた過程を受け止めたい」と前を向いた。一方で「支えてくれた人たちに結果で恩返ししたかった」と本音もこぼした。今後の選手生活については現時点では未定だという。

 会場のスタンドには石巻商高関係者や親族ら約20人が詰めかけ、応援旗を手に「頑張れ」と力を込めて後押しした。試合終了後には、健闘した永沼、橋本両選手に大きな拍手を送った。

 永沼選手を1番近くで応援してきた母親の真由美さん(61)=石巻市大森=は「今まで一生懸命続けて来た。『頑張ったね』と言いたい」と涙を浮かべた。父親の久昭さん(64)は「パリの次のロサンゼルス五輪では、崚が得意なカナディアン500メートルシングルが種目になる。本人がやりたいと言うなら、全力でバックアップする」と話した。

 永沼選手を高校時代から支え続ける、石巻商高教諭でカヌー部顧問の佐藤幸也さん(60)は、200メートル付近まで並走しながら勇姿を見届けた。「ラストにペースを上げていたが、カザフスタンの方が余力があった。残念だが次の大会もある。しっかり休み、気持ちをリセットして戦ってほしい」と語った。

銀メダルを受け取り記念撮影する(左から)橋本、永沼両選手

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