(878)山霞人は小さな墓を置き/馬場叶羽(2004年~)
「霞」が春の季題。秋の「霧」と同じ気象だが、「霧」は濃く深く立ち籠(こ)めるイメージがあって意味深に詠まれることが多い。他方の「霞」は、遠くに淡くかかっている感じがあって、そのせいか少々冷めた句が多いようだ。掲句は、遠い山霞の中にある小さな墓を思っている。「どんなに立派な人でも、人の為(な)すこと…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。