(879)春禽といふよろこびのかすめゆく/仙田洋子(1962年~)
青空の下を歩いていると、鳥が頭上をかすめていきました。賑(にぎ)やかなさえずりは、餌を求めて飛んで行ったのか、縄張り争いでしょうか。鳥は一年中見かけますが、活動が活発になる春は繁殖の季節でもあります。春禽(しゅんきん)は、季語「春の鳥」の傍題です。この表現の方が語感が引き締まり、より生き物の強さが…
関連リンク
- ・(878)山霞人は小さな墓を置き/馬場叶羽(2004年~)
- ・(877)ひとびとに柳絮(りゅうじょ)飛ぶ日の来たりけり/岩淵喜代子(1936年~)
- ・(876)げんげ田にころがっていた泣いていた/坪内稔典(1944年~)
- ・(875)蟇ないて唐招提寺春いづこ/水原秋櫻子(1892~1981年)
- ・(874)弾痕も樹齢に加へ芽吹きをり/玉城一香(1941~2015年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。