(884)男らの藤七温泉雪残る/坪内稔典(1944年~)
藤七温泉は、八幡平の頂上付近にある一軒宿。地獄谷をそのまま浴槽にした、男女混浴の大露天風呂が素晴らしい。冬季閉鎖が終わって心待ちの逗留(とうりゅう)に心も弾む。目にまぶしい残雪の一句だ。藤七温泉は白濁湯なので女性も入りやすいから、男たちがわが物顔にしているというわけではあるまい。藤七温泉のもう一つ…
関連リンク
- ・(883)ふはふはのふくろふの子のふかれをり/小澤實(1956年~)
- ・(882)育たなくなれば大人ぞ春のくれ/池田澄子(1936年~)
- ・(881)桜餅食うてお迎へ待つとせん/浅川正(1950~2021年)
- ・(880)来たことも見たこともなき宇都宮/筑紫磐井(1950年~)
- ・(879)春禽といふよろこびのかすめゆく/仙田洋子(1962年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。