(885)水の惑星なるよ田蛙鳴きたてば/鈴木貞雄(1942年~)
地球は水の豊富な惑星ですが、作者がそれを実感したのは田蛙(たかわず)の声を聞いたときのようです。田に水が張られ始めると、繁殖の季節を迎えた蛙が一斉に鳴きだします。この声を聞くと田植えの時季が近づいてきたとしみじみ思います。姿を見ずとも、声だけで水の存在が身近に感じられる言葉です。雨や流れる川の水と…
関連リンク
- ・(884)男らの藤七温泉雪残る/坪内稔典(1944年~)
- ・(883)ふはふはのふくろふの子のふかれをり/小澤實(1956年~)
- ・(882)育たなくなれば大人ぞ春のくれ/池田澄子(1936年~)
- ・(881)桜餅食うてお迎へ待つとせん/浅川正(1950~2021年)
- ・(880)来たことも見たこともなき宇都宮/筑紫磐井(1950年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。