河北美術展、きょう開幕 石巻地方16人が入賞入選 仙台・TFUギャラリーミニモリ
第85回河北美術展(主催・河北新報社、河北文化事業団、特別協賛・日本航空)が2日、仙台市宮城野区榴岡の東北福祉大ギャラリーミニモリで開幕する。石巻地方からは2人が入賞したほか、14人が入選した。
同展は東北最大規模の公募展として知られ、日本画、洋画、彫刻3部門に合わせて678点の応募があった。会場には入賞40点、賞候補14点、入選270点のほか審査員、参与、顧問、招待作家の特別出品53点の計377点が展示される。
このうち石巻地方からは日本画で千葉勝子さん(70)=石巻市千石町=の「イマジン」が一力次郎賞、洋画で西脇正彦さん(71)=石巻市北村=の「ねがい」が山本壮一郎賞に輝いた。2人とも入賞は3回目。
千葉さんは「8年ぶりの入賞だったので信じられなかった」、西脇さんは「初めて子どもをテーマにしたので表情が難しかった。苦労が報われた」とそれぞれ喜びを語った。
会期は8日まで。開場時間は午前10時~午後5時。入場料は一般・大学生800円、高校生以下以下は無料。
石巻拠点の鈴木千津さん、招待作家に
石巻市を拠点に絵の制作に励む鈴木千津さん(71)=泉町=が、今年から河北美術展招待作家の仲間入りをした。洋画で河北賞(2022年)を受賞するなどこれまで7回入賞を果たしてきた実力が高く評価された。
石巻地方からの招待作家は洋画家の浅井元義さん(石巻市生まれ、1938~2018年)が83年に推挙されて以来2人目。浅井さんは鈴木さんが40代になってから習い始めた絵の師でもあった。
「亡くなって5年半以上になるが、先生、喜んでくれるだろうかと思いながら青空に向かって報告した」
初の招待作家として今年の第85回河北美術展に出品した作品は「忘れた約束2024-I」(F20号)。「忘れた約束」は浅井さんが招待作家、顧問時代を通して制作したシリーズの名前で、それを弟子として受け継いだ。抽象と具象を融合した独創的な作品を生み出してきた。
制作中に悲しい出来事があった。3月に2歳上の兄が急死した。「私の活躍を誰よりも楽しみにしていた。喪失感は大きい。心身ともに限界に追い込まれた」
挫折しそうになった。その時「自分を信じて描き続けろ」という浅井さんの言葉が聞こえてきた。石巻女子高(現石巻好文館高)時代の同級生や周囲の励ましもあった。
「私に残されているのは絵を描くこと、絵が自分の精神の支えであることに気付かされた」
「絵描きとして名誉なこと」と誇る招待作家になった今、改めて絵と向き合う。
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