(892)ふちどれる水はりつめて浮葉かな/村上鞆彦(1979年~)
季語の「浮葉」は、初夏に蓮(はす)の根茎から出て、しばらく水面(みなも)に張り付いたように浮かぶ新葉のことを言う。池の水面に大きな緑の葉が浮かぶ姿は涼やかだ。この句は浮葉の縁(ふち)と接する部分の水を詠んだ。蓮の葉はその構造と特性により、決して濡れることがない。「ふちどれる」「はりつめて」と、良く…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。