(898)遊船を降り立ち顔のひらひらす/檜山哲彦(1952~2023年)
初夏、気持ちのいい行楽シーズン到来。東北であれば、松島湾、猪苗代湖、十和田湖など遊覧船観光もにぎわう頃だろう。そんな海や湖を一回りして戻ってきた船から陸へと降り立つ人の一瞬が一句になっている。水面に光が反射し、それが船から降りる人の顔に映る。その光は水のたゆたいに合わせ「ひらひら」と揺れる。景色を…
関連リンク
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- ・(893)藤棚の下でアキレス腱伸ばす/竹内優(2002年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。