(916)夏の傷と呼んであげようひざこぞう/及川真梨子(1990年~)
子どもが膝小僧をけがすることはよくある。それを見て「夏の傷」だねと言っているのか。別の読みでは、自身の子どもの頃の夏に膝をけがして深い傷になってしまい、傷痕が大人になっても残っているのか。いずれにしても、作者はそれを「夏の傷」とおおらかに表現する。まるで勲章のようであるが、確かに活発だった子ども時…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。