(945)大地いましずかに揺れよ 油蝉/富澤赤黄男(1902~1962年)
ジー…ジー…と油蝉(あぶらぜみ)の声が響き渡っています。出歩く者の少ない夏の昼下がり、日差しはじりじりと辺りを照り付けてきます。「大地よ、静かに揺れよ」と命じているのは作者でしょうか、それとも油蝉でしょうか。地震の揺れというよりも、心で感じることのできるようなわずかな揺れ、油蝉の声に大地が反応し、…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。