いしのまき食探見 > そば 口に広がる素朴な風味
海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。
そ ば
暑い夏は冷たいざるそばが涼味をそそる。今夏も猛暑が予想される中、手打ちそばの魅力を知りたくて、石巻市中央1丁目の「おもたか」を訪ねた。
店主の白幡太志さん(44)は「そばの魅力は素朴さ。かむことで風味が口の中に広がり、鼻から抜ける感じ」と表現する。
茨城県のブランドソバ品種「常陸秋そば」をメインに使用。手回しの石臼で粗くひいたそば粉と、仕入れたそば粉をブレンドして素朴さを引き出す。高齢者でも食べやすいように細めに打つことを心がけ「十割そば」と、小麦粉を加える「二八そば」を作る。
「香りと味わいを楽しむ人はそばそのものを食べる」と白幡さん。「(薬味で使う)すりおろしの本ワサビはそばにぬって食べると香りが立つ」と勧める。ざるそばは同店の夏野菜のてんぷらとの相性も抜群だ。
石巻市健康推進課によると「そばにはポリフェノールの一種、ルチンが含まれ、抗酸化作用がある。血管を丈夫にし、老化を防ぐ効果がある」という。
東松島市上下堤地区では生産者9人でつくる「つつみ」(浅野勝男社長)がソバ栽培を手がける。昨年は夏ソバと秋ソバが天候の影響で大凶作だったため、今年は秋ソバだけを扱う。約13ヘクタールに8月中旬、種まきし、9月下旬以降に収穫する。地元の特産品として定着する乾麺製造を目指す。
(浜尾幸朗)
<メモ>
そばには食物繊維、タンパク質も含まれる。食後血糖値の上昇度を示す指標のGI値はそばが54前後とされ、低GI食品に分類される。「おもたか」には「ざるそば」のほか、夏季限定「すだちそば」や「そば茶プリン」もある。連絡先は0225(98)8448。
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