いしのまき食探見 > ブルーベリー 紫の輝き、酸いも甘いも
海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。
ブルーベリー
紫色の粒が日差しに輝く。6月下旬、石巻市飯野の「あかま里山農園」。ブルーベリー狩りの親子連れが果実を口に運んだ。「すごく甘い」「こっちはちょっと酸っぱいかな」。にぎやかに収穫を進めた。
農園の赤間祐子さん(63)によると、水稲の転作作物として約25年前に栽培を始め、少しずつ面積を広げた。「肥料の量を間違ったり、無農薬栽培なので全部虫にやられたり」と、文字通り手探りで育て方を学んできた。苦労のかいあって石巻ブルーベリーの認知度は徐々に高まり、引き合いも増えている。
赤間さんは「収穫などは全て手作業で、最近では猛暑対策も大変。でも、いいものを作るにはそれなりに手間暇がかかる。収穫を待つ人がいるから頑張れる」と話す。
東松島市大曲の菓子店「プゥアプゥ」の阿部愛純(あずみ)さん(39)は石巻ブルーベリーのファン。SNS(交流サイト)で赤間さんとつながり、3年前から店で使っている。6月下旬のある日、果実たっぷりのケーキやタルトを店頭に並べると、早々に売り切れた。
旬の地元食材を可能な限り使用するのがポリシーといい、この時期はブルーベリー目当てに農園へ通う。「無農薬なのでお客さんに安心して食べてもらえるんです」。畑で奮闘する赤間さんを思い浮かべ、にっこりと笑った。
(都築理)
<メモ>
県園芸推進課によると、県内のブルーベリーの栽培面積は約30ヘクタール、収穫量は39トン(ともに2021年)で、富谷市や栗原市、蔵王町などが主な産地。疲れ目などに効果のあるというアントシアニン、ビタミンC、鉄分、亜鉛、食物繊維といった健康成分を含み、近年人気が高まっている。
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