(961)身をそらす虹の 絶巓 処刑台/高柳重信(1923~1983年)
「多行俳句」の方法を推し進めた作者の代表句。絵画のような3行の割り付けは、一度見たら忘れられない。難しい言葉が出てきて、一句に散文としての意味を見いだせないと「分からない」とさじを投げる人が多いが、まずは辞書を引きイメージのぶつかりを楽しんでほしい。「絶巓(ぜってん)」は山の絶頂のこと。身を反らし…
関連リンク
- ・(960)方舟(はこぶね)になれさうな木の茂りなる/松澤雅世(1953年~)
- ・(959)睡蓮(すいれん)を揺らす波その返し波/広渡敬雄(1951年~)
- ・(958)白玉にとけのこりたる砂糖かな/高浜虚子(1874~1959年)
- ・(957)星涼し電卓のもう進化せず/岡田由季(1966年~)
- ・(956)顔の汗大(おお)きてのひらに一掃す/加藤楸邨(1905~1993年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。