(958)白玉にとけのこりたる砂糖かな/高浜虚子(1874~1959年)
白玉が夏の季題。フルーツ缶と合わせたり、あんこを添えたりするのもいいが、ここはシンプルに白玉を入れた水に砂糖を入れてかき混ぜて食す。掲句は、溶け残った砂糖が白玉にくっついてざらついた食感になっているのを、舌の上で転がして楽しんでいるとみた。どうということはない一瞬を、実に自然体で俳句にしている。1…
関連リンク
- ・(957)星涼し電卓のもう進化せず/岡田由季(1966年~)
- ・(956)顔の汗大(おお)きてのひらに一掃す/加藤楸邨(1905~1993年)
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- ・(954)海月(くらげ)など眺めてをりて遅れけり/前田攝子(1952年~)
- ・(953)鵜とともに心は水をくぐり行く/上島鬼貫(1661~1738年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。