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彫刻に宿る愛、佐藤忠良の世界 石巻市博物館で県美収蔵品展示 来月29日まで

展示されている「おおきなかぶ」の挿絵。登場人物の衣装は、忠良がシベリア抑留の際にロシアで見た民族衣装を基に描いている
忠良の母を形作った「母の顔」(1942年)

 石巻市開成の市博物館(マルホンまきあーとテラス内)で、第9回特別展「移動美術館 佐藤忠良展 宮城県美術館コレクションから」が開かれている。9月29日まで。市博物館と県美術館主催で、宮城出身の彫刻家・佐藤忠良さん(1912~2011年)の記念館を所有する県美術館のコレクションから展示している。

 三つの章から成り、第1章は代表作「群馬の人」や「母の顔」などのブロンズ彫刻14点を紹介する「佐藤忠良の世界」。第2章は友人の子どもや孫をモデルにしたブロンズ彫刻15点を展示する「子どもたちへのまなざし」。第3章「絵本の仕事」では佐藤さんが挿絵を描いた絵本「おおきなかぶ」や紙芝居など35点も公開している。「おおきなかぶ」のフォトスポットやキッズコーナーもある。

 福島県南相馬市から訪れた公務員堀耕平さん(65)は「作者の名前は知っていたが詳しくはなかったので、作風の経過を見ることができて良かった。子どもの彫刻や絵本からは子どもたちへの愛を感じた」と話した。

 黒川郡落合村舞野(現大和町)出身の佐藤さんは画家を志したが、フランス近代彫刻に影響を受けて彫刻家の道へ転向。太平洋戦争やシベリア抑留を経験した後も一貫して制作に取り組んだ。

 17日は県美術館教育普及部の参加体験プログラムが開かれる。自由に絵描きや木工作ができるオープンアトリエは午前10時から午後3時半まで。小学生以下と家族対象のシルエットクイズと紙製スタンド作りは午前10時から同11時半まで。16歳以上対象の彫刻作品やテーマに関するポーズ作りは午後2時から午後3時半までで全身を使ったアート体験ができる。

 このほか24日に講演会「宮城ゆかりの彫刻家 佐藤忠良と高橋英吉」、9月7日には実際に展示作品を見ながら質疑応答などができるギャラリートークがある。いずれも講師は県美術館学芸員の土生和彦氏で、予約不要。参加無料。

 連絡先は市博物館0225(98)4831。

石巻市博物館第9回特別展「移動美術館 佐藤忠良展 宮城県美術館コレクションから」 - 石巻市

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