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南海トラフ「巨大地震注意」、気象庁初の発表 今後を注視 石巻地方

 南海トラフ地震の発生可能性が平常時より相対的に高まっているとして気象庁から「巨大地震注意」が発表されたことを受け、石巻地方の行政担当者は9日、事態を注視しながら冷静に受け止めた。東日本大震災を経験している住民は「対岸の火事ではない。備えを再確認する」と防災への気持ちを新たにした。

 宮崎県南部で最大震度6弱を観測した地震が発生した8日、渥美巌東松島市長は、航空自衛隊の基地があり、かねて交流を続けている宮崎県新富町の小嶋崇嗣町長に電話で連絡を取り、安全を確認した。

 渥美氏は「今後どう展開するかを注視しなければならない。大きな災害が起きた場合はスピード感を持って対応し応援したい」と9日の取材に語った。

 震災による津波で甚大な被害を受けた石巻地方。日本海溝・千島海溝沿い巨大地震による津波浸水深を想定し直したり、今回の南海トラフ地震臨時情報と同様に巨大な後発地震への注意を促す制度の運用が2022年に始まったりと、大地震対策は現在進行形だ。

 「巨大地震注意の発表は冷静に受け止めている」と石巻市危機対策課。担当者は「震災の被災地として気を引き締めていかなければならない」と強調した。

 女川町企画課の防災担当者は「支援物資が必要になるのかなど、今後も情報を集めていく」と話した。

 自主防災組織がある地域の町民も現地の様子を気に掛ける。昨年まで同町宮ケ崎区の行政区長を務めた斎藤俊美さん(86)は、おいが宮崎市にいるという。「無事が確認できて良かったが、しばらくは大きな地震の発生も考えられるので心配だ」と語った。

 防災組織では年に1度、炊き出しや放水などの訓練をしている。「町の消防団員らが中心となり、どんなケースの災害があっても対応できるようにならないといけない」と述べた。

 石巻市渡波の無職山田葉子さん(56)は宮崎県や鹿児島県に住む友人の身を案じて連絡し、余震や断水に備えるように助言した。震災で自宅が全壊し、逃れた先の渡波小で避難所運営に携わった経験がある。住んでいる復興住宅での在宅避難を想定し「同じ建物に住む母や高齢の方々に配ることを考えて備蓄を買い足したい」と話した。

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