解体された復元船サン・ファン号の廃材活用 市民プロジェクト、始動 「偉業伝えたい」
石巻市渡波の県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)で係留後、解体された復元船「サン・ファン・バウティスタ号」の廃材を再加工し活用する市民プロジェクトが動き出した。慶長遣欧使節として江戸時代、スペインへ渡った支倉常長の偉業を、作品やイベントを通じて子どもたちに伝える。第1弾企画で18日、木札づくりのワークショップが開かれる。
プロジェクトを進めるのは東日本大震災の記憶と世界中から寄せられた支援に感謝を伝える「劇団100通りのありがとう」。団員の千葉大作さん(40)が代表取締役を務める東松島市矢本の千葉工務店が共催する。
劇団は結成の機会となった昨年のミュージカル公演で常長の奮闘を演じ、その縁で6月、東京のスペイン大使館での公演を実現した。復元船の廃材を生かした活動は「地域を盛り上げるためなら何でもやる」という劇団のモットーにつながると考え、長期的な活動に乗り出した。
サン・ファン館とつながりがある団員を通じ今春、復元船の廃材と補修材を譲り受けた。総量はマスト用の長さ3メートルの丸太や角材など計3トン。
18日のワークショップ会場は同市矢本西市民センター。小さく切り出した補修材にサン・ファン号の焼き印を付けて木札に加工する。また劇団が活動で使っているオリジナル楽曲の一つ「みやぎ名物アイウエおんど」を参加者で歌い踊る。
千葉さんの妻で団員の楓子(ふうこ)さん(40)は「常長は功績が歴史に残らず、何百年も語られてこなかった。地域ゆかりの偉人に思いをはせながら、結果が出なくても挑戦する楽しさや意義を子どもたちに伝えたい」と話す。
第2弾は廃材でテーブルを制作する。2022年11月から休館中で今年秋の再オープンを目指すサン・ファン館に寄付する予定だ。常長が赴いたスペインを感じられるデザインにするという。
今後の活動案には震災を伝承するモニュメントや、表札づくりなどが挙がっている。大作さんは「団員でアイデアを出し合い制作する。自分も常長の功績や精神を学び、息の長い活動にしていきたい」と意気込んだ。
ワークショップは午後1時半~4時。定員100人。参加費300円。連絡先は楓子さん070(6626)4790。
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