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仙台空襲テーマの漫画「爆弾と紙のランドセルと白いごはん」が完成 井上きみどりさん、体験者取材し制作

戦時下の混乱や暮らしを漫画で分かりやすくまとめた冊子

 仙台市の漫画家井上きみどりさんが、太平洋戦争下の仙台空襲に遭った人々の体験を伝える漫画冊子を完成させた。青葉区の市戦災復興記念館に寄贈し、今後はウェブでの公開も予定する。継承が難しくなりつつある戦争体験を、漫画を通じて次代につなぐ。

 冊子「爆弾と紙のランドセルと白いごはん」はB5判、86ページ。1945年7月の空襲時は小中学生で、現在は90歳前後の市民3人から井上さんが話を聞き、当時の様子を描いた。

 空襲中、防空壕(ごう)に入れてもらおうと扉を必死にたたいたという生々しい記憶や、戦時下では革が不足しランドセルが紙製だったことなどを紹介。親しみやすい絵と説明で、子どもも読みやすい内容に仕上げた。

 記念館には11日、30冊を贈った。贈呈式で井上さんは「子どもたちの平和学習に役立ててほしい」とあいさつ。阿部康彦館長は「館内や講座での活用に加え、学校への貸し出しも考えたい」と応えた。館内で閲覧できる。

 兵庫県出身の井上さんは中学・高校時代を過ごした広島県で被爆者らの証言に触れ、戦争や平和への関心を深めたという。国際紛争などをテーマに漫画作品を手がけており、25年暮らしてきた仙台の人々にも戦争を「わがこと」と感じてもらおうと、昨年夏ごろから取材を重ねた。

 10月1日には自身の公式サイトでPDF版を無料公開する。井上さんは「戦争の原因や、平和がつくられる過程を子どもたちに知ってもらいたい。冊子が戦争や空襲を考えるきっかけになればいい」と話す。

 希望者には、送料も含め1000円以上の寄付で送付する。連絡先は発行所トト・ライティング080(5222)7558。

阿部館長(左)に冊子を手渡す井上さん=仙台市戦災復興記念館

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