(1009)鉦叩(かねたたき)風に消されてあと打たず/阿部みどり女(1886~1980年)
鉦叩はコオロギの仲間。ものの本には「ちんちんちんちん」と鳴き、鉦をたたく音に似るところからこの名前があると書かれている。自転車のブレーキ音のようにも聞こえるが。随分長く鳴いていたのが、風が吹いた後に…
関連リンク
- ・(1008)愛惜を荷作りせよと虫そぞろ/山中葛子(1937年~)
- ・(1007)秋の風鈴まるで初めて鳴るやうに/遠藤由樹子(1957年~)
- ・(1006)秋雨の闇どつと開く無人駅/桐野晃(1980年~)
- ・(1005)比良坂へ桃を放りて長生す/柿本多映(1928年~)
- ・(1004)好きな絵の売れずにあれば草紅葉/田中裕明(1959~2004年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。