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2024衆院選 宮城4区、4候補の横顔

伊藤信太郎氏
大林正英氏
佐藤雄一氏
安住淳氏

 15日公示された衆院選(27日投票)で、石巻地方を含む宮城4区には8選に挑む自民党前議員の伊藤信太郎氏(71)、ともに新人のれいわ新選組の元岩手県釜石市議大林正英氏(60)、日本維新の会の元石巻市議佐藤雄一氏(45)、10選を狙う立憲民主党前議員の安住淳氏(62)が立候補し、舌戦を展開する。候補者の訴えと横顔を紹介する。

伊藤信太郎氏(71)/自前(7)(公推)

<対話こそ政治の原点>

 新たな区割りが適用された宮城4区は、1次産業を基幹産業とする地域が多い。海水温上昇や飼肥料価格の高騰などで苦境に立つ水産業、農業、林業への支援に意欲を見せ「スマート農業や6次産業化、水産業は養殖を含めた『つくる漁業』を進める」と強調する。

 宮城の魅力を「風光明媚(めいび)でコミュニティーの温かさが残っている」と語り、地方創成に向けた東京一極集中の是正や地域振興策を掲げる。「地域医療や福祉、教育、雇用を充実させ、生活インフラとしての公共交通を守る」と意気込む。

 父で元衆院議長・故宗一郎氏の後を継いで政界入りした。「父を当選させ続けた地域への恩義がある。地域や国のため仕事をしようと考えた」と振り返り「政治の原点は対話。皆さんが求めていることを受け止め、具体的な予算付けにつなげたい」と力を込める。

 趣味は料理と映画で、得意料理は海産物を使ったスパゲティ。少年時代は文学や討論好きだったといい、映画監督の顔も持つ。これまで映画やミュージックビデオなど97作品を制作。「お客さんや有権者に喜んでもらうという意味では、映画と政治は共通項がある」と持論を語る。

(いとう・しんたろう)1953年5月、東京都生まれ。米ハーバード大大学院修了。衆院議員秘書を経て2001年の宮城4区補選で初当選。09年に落選し、12年に返り咲いた。外務副大臣や環境相を歴任。都内の自宅で妻、長男、次男と暮らす。

大林正英氏(60)/れ新

<復興支援から政界へ> 

「予習は終わり。いよいよ実践」。市議を務めた岩手県釜石市から石巻市に拠点を移し、国政選挙へ挑戦する。「東日本大震災の被災地では多くの優秀な若者に出会った。日本が災害から立ち上がれる仕組みを望む彼らの思いを宮城から実現する」と決意する。

 東京で生まれ育ち、震災をきっかけに釜石市へ移住。市の復興支援員として中小企業の異業種連携に携わった。引退市議の勧めで2015年、市議選に挑戦した。仮設住宅を回った際、「東京もんのあなたに復興を任せる」と言われ、政治の世界に飛び込んだ。

 市議は2期目途中21年まで務めた。同年の衆院選に立憲民主党公認で出馬し落選。昨年かられいわ新選組と親交を持ち、山本太郎代表の主張に賛同。「原子力政策や武器輸出など多くの問題で与党を利する姿勢を取っている」と古巣への対抗色を強める。

 石巻になじみはないが、「地域環境や産業構造が釜石に似ている」と親しみを持つ。「東北の復興をリードしたのは宮城だった。この街がどのようにここまで復旧したのか、学ばせてもらうのが楽しみだ」と展望を語る。

 趣味はスポーツ鑑賞。

(おおばやし・まさひで)1964年7月、東京都生まれ。慶大法学部卒。87年三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。通産省(現経産省)外郭団体「財団法人日本情報処理開発協会」などを経て、釜石市復興支援員。2015年から釜石市議を2期途中まで務めた。

佐藤雄一氏(45)/維新

<満を持して国政挑戦>

 石巻市議を3期途中まで務め、満を持して初の国政選挙に挑む。党が公約に掲げる政治改革や若年層への投資を重点項目に挙げ、「将来世代への徹底投資で新しい時代の政治をつくる。古い政治を打ち破りたい」と世代交代へ意気込む。

 石巻市河南地区出身。16歳で上京し、都内の会社員だった2011年に東日本大震災が発生。古里を気に掛け、13年に帰郷。地元の復興に貢献しようと、政治の世界に身を投じた。

 「いずれ国政を目指すため、地方議員の経験が必要だった。ようやくスタートラインに立てる」と約10年の道のりを振り返る。選挙戦では若年層の票の掘り起こしを狙う。富谷市や利府町、大衡村などに焦点を当て、「党への応援の声をもらった」と手応えを語る。

 田畑が広がる景色と住民の団結力を地元の魅力に挙げる。「親戚や同級生、地域の方々に支持してもらってきた。一番の強みは河南地区だ」と地盤への自信を語る。地域は復興したと見るものの、「活気は徐々になくなっている。地元が元気になり、若者の生活が楽になるような政策を打たなければ」と強調する。

 趣味はサーフィンとスノーボード。

(さとう・ゆういち)1979年9月、石巻市生まれ。日大通信教育部政治経済学科卒。衆院議員秘書を経て、17年4月から石巻市議を2期務めた。3期目途中の23年9月に辞職した。同年12月から日本維新の会宮城4区選挙支部長。

安住淳氏(62)/立前(9)

<新選挙区、初心で挑む>

 10選を目指す衆院議員歴29年目のベテラン。知名度は抜群だが新選挙区となった旧4区の地域では「新人と同じ」と気を引き締める。「戦後79年間、石巻地方でつないできた議席を守るため、初心に返って挑む」と語り、地域を丹念に回る。

 政権交代が可能な二大政党制の実現を目指してきた。「自民党の裏金問題は、一党支配による派閥と世襲の政治が要因。今こそ政治の刷新を」と訴える。

 深刻化する人口減少に歯止めをかけるため「外国人を積極的に受け入れ、石巻地方を国際先進都市にする」と提言。水産業や医療福祉の現場で人手不足を解消し、多様性を重んじながら若者が定住しやすい地域づくりを強調する。

 東北電力女川原発2号機については「(再稼働が迫る中で)賛否を議論しても仕方ない」とし、東北電に徹底的な情報公開を求める。「再生可能エネルギー比率を高め、原発ゼロにつなげる」と意気込む。

 趣味は読書とゴルフ。好きな風景は古里・牡鹿半島のおしか御番所公園から見た太平洋だ。子どもの頃、遠くに見晴らす蔵王や金華山の向こうにある米国に思いをはせた。「大きいことをしたいと思い、今がある」

(あずみ・じゅん)1962年1月、石巻市生まれ。早大社会科学部卒。NHK記者を経て96年に初当選し連続9期。財務相などを歴任。2022年8月~24年9月、党国対委員長。21年から県連代表。妻と会社員の長女、大学生の長男の4人家族。

   ◇

【遊説日程(17日)】

〔伊藤陣営〕
▽選挙カー=大衡村、大和町、利府町、塩釜市

〔大林陣営〕
▽選挙カー=多賀城市

〔佐藤陣営〕
▽選挙カー=石巻市、大郷町、大衡村、大和町、富谷市、利府町、多賀城市、塩釜市、松島町、東松島市、石巻市
▽街頭演説会=イオンモール新利府店(午後4時)

〔安住陣営〕
▽選挙カー=石巻市井内、湊、渡波、牡鹿、女川町、石巻市雄勝、北上、河北
▽個人演説会=午後2時・女川町まちなか交流館、午後3時半・大須集会所(石巻市雄勝町)、午後4時・名振コミュニティセンター(同)、午後6時・石巻市河北総合センター

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