巨大壁画と法印神楽、共演 「海岸線の美術館」で奉納 石巻・雄勝
石巻市雄勝地区の防潮堤に巨大壁画を描く「海岸線の美術館」プロジェクトによる5、6作目の壁画の完成を祝う祭りが13日、上雄勝2丁目の壁画「岩戸開」前で開かれた。本作のモチーフとなった地元の伝統芸能「雄勝法印神楽」を奉納し、市内外から多くの観光客が詰めかけた。
プロジェクトは同市の一般社団法人「SEAWALL CLUB」が企画し、2022年から壁画を制作してきた。防潮堤で景観が損なわれた地区に新たな風景を育み、地域振興や交流人口の増加を目指す。
5作目の「岩戸開」は東京都の芸術家安井鷹之介さん(30)が手がけ、天照大神が洞窟から登場する「岩戸開」の一場面を描いた。高さ7.8メートル、幅13.8メートル。9月上旬に約1週間かけて制作した。6作目の「大首絵」も同地区大浜に完成させた。
神楽は完成した壁画の前で「蛭児(ひるこ)」「日本武尊」などを奉納し、気迫の踊りや遊び心ある掛け合いで会場を沸かせた。
東松島市赤井から訪れた雄勝地区出身のパート職員杉山満明さん(69)は「神楽は小さい頃から見てきた。現代の作品と昔からの舞台が融合した心に染みる風景だ」と話した。
安井さんは「うたげで天照大神を外へ誘い出す、演目のにぎやかさを体現したような光景で美しい。これからも祭りを開いていきたい」と話した。
祭りではキッチンカーの出店やバンド演奏など多彩な催しがあったほか、雄勝産のカニやホタテが入った芋煮も振る舞われた。
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